この記事では、著名人の写真をSNSやブログなどに掲載する場合に関連する、肖像権とパブリシティ権について述べる。

リトグリなど芸能人著名人の場合、一般人とは肖像権の扱いが異なる。

著名人の場合には、一般人とは異なり、肖像権が制限される。
これについては、マーク・レスター事件の判例がある。
虎の門総合法律事務所の抜粋が良くまとめられている。
マークレスター事件判決抜粋
(東京地裁 S51.6.29判決 S46(ワ)9609号事件)


(二) 俳優等の氏名、肖像に関する利益
人が自己の氏名や肖像の公開を望まないという感情を尊重し、保護することを主旨とするものであるが、俳優等の職業を選択した者は、もともと自己の氏名や肖像が大衆の前に公開されることを包括的に許諾したものであって、右のような人格的利益の保護は大幅に制限されると解し得る余地がある。
(中略)
 俳優等が自己の氏名や肖像の権限なき使用により精神的苦痛を被ったことを理由として損害賠償を求め得るのは、その使用方法、態様、目的等からみて、彼の俳優等としての評価、名声、印象等を毀損若しくは低下させるような場合、その他特段の事情が存する場合(例えば、自己の氏名や肖像を商品宣伝に利用させないことを信念としているような場合)に限定されるものというべきである。しかしながら、(中略)俳優等の氏名や肖像を商品等の宣伝に利用することにより、俳優等の社会的評価、名声、印象等が、その商品の宣伝、販売促進に望ましい効果を収め得る場合があるのであって、これを俳優等の側からみれば、俳優等は、自らかち得た名声の故に、自己の氏名や肖像を対価を得て第三者に専属的に利用させうる利益を有しているのである。ここでは、氏名や肖像が、(一)で述べたような人格的利益とは異質の、独立した経済的利益を有することになり(右利益は、当然に不法行為法によって保護されるべき利益である。)、俳優等は、その氏名や肖像の権限なき使用によって精神的苦痛を被らない場合でも、右経済的利益の侵害を理由として法的救済を受けられる場合が多いといわなければならない
このマークレスター事件では、パブリシティ権という名称を用いてはいないが、実質的にその肖像の経済的利益について認めている。

その経済的利益が、パブリシティ権として確立されるのは、おニャン子クラブ事件からかな。
パブリシティ権においては極めて重要な判決。
ざっくりと、パブリシティ権については
「芸能人の氏名・肖像がもつかかる顧客吸引力は、当該芸能人の獲得した名声、社会的評価、知名度等から生ずる独立した経済的な利益ないし価格として把握することが可能」
一方、肖像権(人格権)については
「社会的に許容される方法、態様等による使用行為については、当該芸能人の周知性を高めるものではあっても、その人格的利益を毀損するものとは解し難い」
とした。

まあ、このあたりは割愛する。

では、どのような場合に、パブリシティ権が侵害されたと認められるのか?

これは、ピンクレディ事件の判例がある。

こちらは、小松法律特許事務所の資料(ピンク・レディー事件 最高裁判決の検討)がわかりやすい。

(2) 判断基準 専ら基準(専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするか否か)を採用。侵害となる場合の例示あり。
 ①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
 ②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し
③肖像等を商品等の広告として使用するなど
(最高裁平成24年2月2日判決・裁判所HP)

(中略)

(1) 専ら基準を採用する理由
i パブリシティ権=顧客吸引力の排他的な利用権だから,顧客吸引力の無断利用を侵害の中核的要素と捉えるべき。
 ii ・ 著名人等の特殊性。その人物像,活動状況等の紹介,報道,論評等を不当に制約するようなことがあってはならない。
 ・ パブリシティ権について規定した法令が存在せず,人格権に由来する権利として認め得るものである。パブリシティ権の侵害による損害は,経済的なものであり,氏名,肖像等を使用する行為が名誉毀損やプライバシーの侵害を構成するに至れば別個の救済がなされ得る。 → 肖像等の商業的利用一般をパブリシティ権の侵害とすることは適当でなく,侵害を構成する範囲は,できるだけ明確に限定されなければならない。

このピンクレディー事件の判決文から引用しておこう。

人の氏名,肖像等(以下 ,併せて「肖像等」という。) は,個人の人格の象徴 であるから,当該個人は,人格権に由来 するものとして,これをみだりに利用されない権利 を有すると解される(氏名 につき ,最高裁昭和58 年(オ)第1311 号同 63 年2月16日第三小法廷判決・民集 42 巻2号27頁,肖像につき ,最高裁昭和40 年(あ)第1187号同 44 年12 月24 日大法廷判決・刑集 23巻12 号1625頁,最高裁平成15 年(受)第281号同 17 年11 月10 日第一小法廷判決・民集 59 巻9号2428頁各参照)。 そして ,肖像等は,商品の販売等 を促進 する 顧客吸 引力 を有する場合 があり ,このような顧客吸引力を排他的に利用 する 権利 (以下 「パブリシティ権」という。) は,肖像等それ 自体 の商業的価値に基づくものであるから,上記 の人格権に由来 する 権利 の一内容を構成 するものということができる。他方 ,肖像等に顧客吸引力を有する者は,社会の耳目 を集めるなどして,その 肖像等 を時事報道,論説 ,創作物等に使用 されることもあるのであって ,その 使用 を正当 な表現行為等として 受忍 すべき 場合 もあるというべきである。そうすると,肖像等を無断 で使用 する 行為 は,①肖像等それ 自体 を独立 して 鑑賞の対象となる 商品等 として 使用 し,②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し,③肖像等を商品等の広告 として 使用 するなど,専ら肖像等の有する顧客吸引力 の利用 を目的 とするといえる場合 に,パブリシティ権を侵害するものとして,不法行為法上違法となると解するのが相当 である
さらに続く
パブリシティ権の侵害となる 場合 をどのような基準 で認めるかについては,これまでの 下級審裁判例等を通じいくつかの見解 が示されているが,パブリシティ 権が人の肖像等の持つ顧客吸引力の排他的な利用権である 以上 ,顧客吸引力の無断利用を侵害 の中核的要素と考えるべきであろう。 もっとも,顧客吸引力を有する著名人 は,パブリシティ権が問題になることが多い芸能人やスポーツ選手 に対する娯楽的 な関心 をも 含め,様々な意味において社会の正当 な関心 の対象 となり 得る存在であって,その 人物像 ,活動状況等の紹介 ,報道,論評等を不当 に制約 するようなことがあってはならない。そして,ほとんどの報道 ,出版 ,放送等は商業活動として 行われており,そうした活動 の一環 として 著名人 の肖像等を掲載 等した 場合 には ,それが顧客吸引の効果 を持つことは十分 あり得る。したがって,肖像等の商業的利用一般をパブリシティ権の侵害とすることは適当 でなく ,侵害 を構成 する 範囲 は,できるだけ明確 に限定 されなければならないと考える。また ,我が国にはパブリシティ権について規定 した 法令 が存在 せず ,人格権 に由来 する 権利 として 認め得るものであること,パブリシティ権の侵害による損害 は経済的なものであり,氏名 ,肖像等を使用 する 行為 が名誉毀損やプライバシーの侵害を構成 するに 至れば 別個 の救済 がなされ得ることも,侵害 を構成 する 範囲を限定的に解すべき理由 としてよいであろう。こうした観点 については,物のパブリシティ権を否定した 最高裁平成13 年(受)第866号,第867号同 16 年2月13 日第二小法廷判決・民集 58 巻2号311頁が,物の名称の使用 など ,物の無体物 としての面の利用に関しては,商標法等の知的財産権関係の法律 が,権利の - 6 -保護 を図る反面として ,使用権の付与 が国民 の経済活動や文化的活動の自由 を過度に制約 することのないよう,排他的な使用権の及ぶ範囲,限界 を明確 にしていることに 鑑みると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,法令等の根拠 もなく競走 馬の所有者に排他的な使用権等を認めることは相当 でないと判示 している趣旨が想起されるべきであると思う。 肖像等の無断使用が不法行為法上違法となる 場合 として ,本判決が例示 しているのは ,ブロマイド,グラビア写真 のように,肖像等それ 自体 を独立 して 鑑賞 の対象となる 商品等 として 使用 する 場合 ,いわゆるキャラクター商品 のように,商品等の差別化 を図る目的で肖像等を商品等に付する場合 ,肖像等を商品等の広告 として 使用する 場合 の三つの類型 であるが,これらはいずれも専ら顧客吸引力を利用 する 目的と認めるべき典型的 な類型 であるとともに,従来 の下級審裁判例で取り扱われた事例等 から 見る限り,パブリシティ権の侵害と認めてよい場合 の大部分をカバーできるものとなっているのではないかと思われる。これら三類型以外のものについても,これらに準ずる 程度 に顧客吸引力を利用 する 目的 が認められる場合 に限定 することになれば,パブリシティ権の侵害となる 範囲 は,かなり明確 になるのではないだろうか。 なお ,原判決は,顧客吸引力の利用以外の目的 がわずかでもあれば,「 専ら」利用する 目的 ではないことになるという問題点 を指摘 しているが,例えば肖像写真と記事 が同一出版物に掲載 されている場合 ,写真 の大きさ,取り扱われ方等 と,記事の内容等を比較検討し,記事は添え物で独立した 意義 を認め難いようなものであったり ,記事 と関連 なく 写真 が大きく扱われていたりする場合 には ,「 専ら」といってよく ,この 文言 を過度 に厳密 に解することは相当 でないと考える 。

そういうわけで、公表されたリトグリの写真をSNSなどインターネットに掲載する場合、
次の三条件に当てはまらなければ、パブリシティ権の侵害とはならない。

 ①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
 ②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し
③肖像等を商品等の広告として使用するなど


商用利用していない限り、一般のガオラーさんは、大丈夫です。
注意して欲しいのは、自前でリトグリの肖像入りグッズを作成して、メルカリなどで販売する行為。
同様なグッズを作成して、無料で配布する行為。無料であっても、その配布範囲、形態により、顧客誘引と看做される。
これらは、パブリシティ権の侵害となる。
今回の話とはまた別だが、リトグリの写真や画像を使用していない場合でも、文字で「Little Glee Monster」などと記載すると、商標権の侵害となる。商標権については、また別の機会に。
また、Twitterのプロフィール画像やバナーに、著名人の写真を使う場合には、肖像権的にはOKでも、著作権でダメな場合がある。引用の要件は満たせない。
商用利用しないアカウントの場合、コンサートやリリイベで自分で撮影した写真なら著作権も肖像権も大丈夫だ。


一方、私の場合、このブログには広告を掲載し、商用利用している。
したがって、このブログのトップバナーに著名人の写真を使用し、専ら顧客誘引のために利用する場合や、もっぱら写真を観賞するための記事を作成する場合に、パブリシティ権の侵害の可能性がある。
論評した記事中に著名人の写真を使用し、専ら顧客誘引のための利用でない分には、パブリシティ権の侵害とはならない。

そういうわけで、私のブログではトップバナーにリトグリの写真を使用していない。同様にTwitterのこのブログのアカウントでもプロフィール画像にリトグリを使用していない。また、専ら写真を観賞する記事の作成もしていない。


なお、リトグリやワタナベエンターテインメント所属タレントの肖像権(パブリシティ権)については、JAPRPO(肖像パブリシティ権擁護監視機構)で監視している。

権利を侵害してると思われる事例を発見したら、JAPRPOに通報してほしい。



今回、SNSやブログなどインターネットで投稿する際に関わる、著作権と肖像権について、ざっくりと3本の記事にまとめて解説した。
まあ、この3本の記事をおさえておけば、大丈夫でしょう。


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著作隣接権、著作人格権(同一性保持権)、商標権などについてはまたの機会に。
誹謗中傷(名誉毀損罪など)と批判の違いについても、またの機会に。

もしかしたら、私の別のブログ「食彩旬感」の方でやるかも。



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