リトグリのハーモニーが不協和音に聴こえるという声がある。

結論から言えば、リトグリは不協和音だ。

不協和音に聴こえる?
だって、不協和音だもん。



先日、香港で民主活動家の周庭さんが保釈され、拘束中に欅坂46の「不協和音」の歌詞が頭に浮かんだと話した。

香港の周庭氏「欅坂46『不協和音』の歌詞が頭に」発言に大きな反響 信念貫く姿を重ね「ほんまに音楽の力ってすごい」

この会見のニュースに、「不協和音」がトレンドワード入りするほど日本のネットユーザーも大きく反応した。



僕はYesと言わない
首を縦に振らない
まわりの誰もが頷いたとしても
僕はYesと言わない
絶対沈黙しない
最後の最後まで抵抗し続ける

(中略)

不協和音で既成概念を壊せ
みんな揃って同じ意見だけではおかしいだろう
意志を貫け!
ここで主張を曲げたら生きてる価値ない
欺きたいなら
僕を抹殺してから行け!

この周庭さんの記事や、欅坂46「不協和音」の歌詞の中で使われる不協和音の意味と、音楽用語の不協和音とは意味が異なる。


一方、音楽用語の不協和音は、「協和音程以外の和音」だ。

協和音程は、8種類ある。
完全協和音程が4種類と、不完全協和音程が4種類だ。

完全協和音程にはさらに、絶対協和音程が二つある。

完全1度(ユニゾン)

完全8度(オクターブユニゾン)

この二つが絶対協和音程。
完全一度も完全8度も、いちおう和音の一種なんだな。あまりハモってるとは言わんけど。
完全一度については楽器が増えないと、単音の場合もあるので、ハモってないこともあるけど、二つ以上の楽器で同じ音高を鳴らしてユニゾンしたら、和音の一種には違いない。
完全八度については、音高の異なる二つの音がオクターブ違いで鳴っているので、和音は和音。ハモっていると言えばハモってる。
ただ一般的に言われる「ハモってる」は狭義の意味で、後述する長短3度6度だけどね。


完全協和音程のあと二つは、
完全4度
完全5度

これらが完全協和音程。


続いて、不完全協和音程が、次の四種類
これらは、分類によっては不協和音とされることもある。

長三度
短三度

長六度
短六度

長短三度六度の四種は、一番ハモってるっぽい響きがある。
一般的に言われる「ハモってる」は絶対協和音程以外の完全四度五度と長短三度六度を指すことが多い。
デュエット曲とかで、ハモリを入れる場合には、主旋律の三度上か三度下に入れることが多い。
キャンディーズとかkalafinaだと三声なので、主旋律の上下三度でハモることが多いかな。

合唱でよくある構成の混声四部だと、
ソプラノ(主旋律)
アルト(三度下)
テノール(オクターブ下の三度上)
バス(オクターブ下)
が鉄板だね。
こうすると、字ハモしてても不協和音は鳴りにくい。
もちろん、意識的に不協和音を鳴らすこともあるが。



協和音程以外の和音が不協和音になる。

なので、7thコードや9thほかテンションは、7度や9度、11度~の音が入るので、不協和音だ。

不協和音が不快なのか?悪いのか?

これはその人の感性にもよるが、不協和音をとりたてて悪者扱いする人は、時代錯誤。14世紀以前からタイプスリップして来た人だろう。
14世紀以前は、不協和音はあまり使用されていなかったが、それ以降は不協和音を使用されることが多くなり、現代ではかなり多くの楽曲で不協和音が使用されている。

先ほど紹介した欅坂46の「不協和音」では、ボーカルはユニゾンなので、絶対協和音程の完全一度だが、伴奏ではほんの少し7thコード、不協和音が使われてる。

不協和音だらけの曲もある。
エリック・サティのジムノペディ



冒頭からGmaj7 - Dmaj7だ。

浮遊感のあるおしゃれな響きでしょ。
ピアノは平均律だから全部不協和音だっていう、そもそも論は無しね。それを言っちゃあ、おしめぇよ。

これはクラシックだけども、ジャズなんて不協和音だらけの曲が多い。

リトグリの場合には、4声あるいは5声でハモることも多い。
そりゃ、7thや9thあるいは、add9とか、中を省略してテンションが鳴るわけで、
伴奏だけでなくボーカルそのものに不協和音が多くなる。

日本は古来より、単音文化だという。
古典的な日本の音楽では、意識的にはハモらない。そもそも和音の概念がない。
そのせいか、日本人は和音を聴き取る能力が低い人が多いという。
そういう人は、ユニゾンあるいはソロ歌唱が好き。和音や不協和音は嫌い。

だからかな、日本(韓国もそうだが)では、ボーカルグループでもユニゾンかソロ歌唱だけの楽曲が多い。
というか、そもそも、ユニゾンかソロでしか歌わないグループが多い。


それでは、リトグリの不協和音を楽しみましょう。



不協和音だらけだから、ザラザラっと来るでしょ。協和音と比較すると濁った響き。

リトグリは、オリジナル曲でも、意識的に不協和音を使っている。
インタビュー記事には、こうある。
  ↓
女子高校生6人組、リトグリ 美しいコーラスで飛躍へ
『会いにゆく』は「君」への思いを歌ったラブバラードで、6人の重奏感のあるハーモニーが際立っている。グループ最年少のmanakaは「キレイな和音のハモリだけではなく、合わせることが難しい単音では不協和音に聴こえるメロディーをハモリとして多く入れているんです。その結果、今までよりも深みのあるサウンドに仕上がりました」と語る。
さすがは、俺の嫁(予定)。

音が大きいので注意!(Spotifyの埋め込みはボリュームコントロールできない)





以前は、リトグリはオープンボイシングでハモることが多かった。
ハモりの技術的には、近頃のリトグリの楽曲よりは難しくはない。

今では、9thとかテンションでも、クローズドボイシングでハモることも多い。
そうするとさ、半音違いのハモリになる部分があるのよ。もちろん、技術的には超高難度。
半音違いでハモるなんて、ザ・不協和音オブ不協和音、もう不協和音以外の何物でもないよね。

それを音が外れてるとか、ハモれてないとか言う人は、よほど耳が悪いか、よほど耳が良いんだろう。
耳が悪い方は、そもそも半音違いの音が聴きとれてない。耳が良い方は、平均律と異なるので、違和感を覚える。純正律は、単音で聴くと平均律と音高が数セントしか違わないので気がつかないが、和音にすると響きが異なるので、気がつきやすい。
これについては、今回は割愛。

不協和音の中でもいろいろある。
さっきのエリックサティのは浮遊感のある不協和音、Ain't No Mountain High Enoughはざらっとした不協和音。
不協和音の中でも、解決が必要とされる不安定な不協和音は、嫌いな人は嫌いでしょう。万人向けではない。
逆に言えば、はまる人は深い泥沼にはまってしまう。はまったら抜け出せない。Eagles の「Hotel California」状態だ。
”You can check out anytime you like… but you can never leave”

リトグリが大衆受けせず大ヒットにこそならないが、長期的に安定した人気を得られるのは、こういった不協和音に秘密があるのかもしれない。

もちろん、第一義的にはマーケティングに大きな理由がある。これについては、機会があれば記事にしたい。

不協和音については以上。




余談だが、香港の周庭さんを応援する方法がある。

youtubeの周庭チャンネルを視聴し、再生回数をがんがん回すこと。
広告料が入るので、金銭的にも支援することになる。






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